口絵の写真が凄い。52ページもある。紙芝居の写真、ああ、こんなだったなと記憶が蘇る。紙芝居は「黄金バット」「手を振る子」2作品、のぞきからくりは「幽霊の継子いじめ」、道成寺の安珍清姫の絵解きの全ての絵と口上が収録されている(モノクロ)。あと、写し絵や立ち絵の写真も数枚ずつ。
本文の方は、「視覚の文化論 絵解きから劇画まで」(加太こうじ)が面白い。アルタミラ洞窟の壁画から話は始まるり、絵に描く意味から文字の発生と、絵と文字の果たす役割から語られ、その後、絵解き、声明、説教、絵巻の話から、覗きからくり、映画、写し絵、幻燈、立ち絵、紙芝居まで展開される。大きな流れを紹介しているのに、話が具体的で解りやすい。話の分量は覗きからくり以降の方に置かれているが、絵解き関連は他の項で紹介される。
「絵は語る 絵解き文芸」(林雅彦)、「絵解きの系譜」(関山和夫)は、絵解き関係の論文によく引用される論文だ。絵解きの分類、諸相から、各作品の紹介、そして現況まで詳細に紹介してくれている。
書名 芸双書8「えとく 紙芝居・のぞきからくり・写し絵の世界」
出版社 白水社
出版年 1982年
口絵目次
- 紙芝居 黄金バット 手を振る子
- のぞきからくり
- 絵解き
- 写し絵
- 立ち絵
本文目次
- 視覚の文化論 絵解きから劇画まで(加太こうじ)
- 下町の紙芝居屋さん(西田敬一)
- のぞきからくりと写し絵(山本慶一)
- 絵は語る 絵解き文芸(林雅彦)
- 絵解きの系譜(関山和夫)
- 「立ち絵」の歴史(永井啓夫)
- 編集後記(永井啓夫)
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